看護師の話

過労で追い詰められた看護師がキャリアを変えた実話〜救命センターでの壮絶な経験〜

「会いたい…」

かつて同じ病院で働いていた同期から
突然こんなメッセージが届きました。

普段はこんなメッセージを送ってこないのですが、
彼女からのメッセージに何か違和感を覚えました。

 

私はすぐに予定を調整し、
彼女が指定したショッピングモールへと向かいました。

そこで彼女を見つけたのですが、
笑ってはいるものの、その笑顔にはどこか無理を感じました。

心配しながらも、彼女の話に耳を傾けました。

 

笑顔の裏に隠されたSOS

「病院辞めてから元気にしてた?」
「今どこの病院で働いてるの?」
「救急はまだ続けてるの?」

そんな彼女の質問ばかりが続きました。

私の話を聞きたがっているように見えて、
実は彼女が自分の話を避けているのがわかりました。

このままでは私の話だけでランチが終わってしまう。
私から彼女に仕掛けるしかないと思い、
「そっちは仕事どう?」と聞いてみると

彼女の目に涙が浮かびました。

その時彼女が働いていたのは民間病院の救命センター。
人材不足の中で高度医療を提供する、まるで戦場のような職場です。

彼女はそこで、大きなミスをしてしまったのです。

 

過労がもたらしたミス、引き起こした自信喪失

彼女は私なんかより真面目で頭の良い看護師でした。
仕事も効率良く早くて、勉強熱心で
性格も明るくて人付き合いも得意な人です。

誰よりも仕事に情熱を持ち、いつも上を目指していました。
認定看護師の資格取るんだと目標を語っていました

でも、その職場でのミスが彼女の自信を打ち砕きました。
看護師免許を持ってるなら誰もがわかるようなことで
彼女はミスを犯してしまったのです・・・

病院からの厳しい叱責に、庇ってくれる人もいなかったと言います。

ミスはあったものの、ミスが起きた要因はあります。
彼女は月に45時間以上の残業をこなし、
無理なシフトを何十連勤も続けていました。
というか・・・強いられてたんですがね・・・

そんな環境では、正常な判断力を失うのも無理はありません。

私は彼女にハッキリ言いました。

「そんなブラックな環境で仕事続ける気?
キャリアアップは他の病院でもできる。
その病院じゃなきゃいけないってことないでしょ?
今の病院を辞めなければ、いずれ体か心が壊れる。
ミスの連鎖も止まらない。いつか患者を・・・」

 

自分を大切にする働き方の選択

彼女は涙をこぼしながら、
自分のミスに対する自責の念を語りました。

「患者さんにも職場にも申し訳ない」
「自分が本当に嫌になる」
「あんなこともわからないなんて看護師向いてない」
などなど

私は彼女に自分をもっと大切にしてほしいと伝えました。
スタッフをボロ雑巾のようになるまで酷使して
都合が悪くなったらあーだこーだ言って責任ばかり追求し、
労働者を守る気すらない・・・

そんな病院のために自分の大切な時間を費やす価値あるの?
そんなロクでもない病院のために、
今まで積み上げてきた看護師としてのスキルも経験もキャリアも
全部潰されるって・・・そんなアホくさい人生ってアリ?!

絶対にないでしょ!!

 

その後、私は彼女に具体的な退職計画を立てる手助けをしました。
診断書を取得して休職し、その間に次の就職先を見つける。
そして、診断書の効力が切れたらそのまま退職すると。

ネガティブ感情が渦巻きながらも彼女は行動して
不安定ながらも頑張っていました
(ずーっとLINEで自責の念を語ってましたがね・・・)

数ヶ月後、彼女は無事に病院を退職し、
新しい環境で再スタートを切りました。

念願の救命センターにまた就職できて
引き続き忙しいところで働くことにはなりましたが、
以前のようなブラック環境ではなくなったので
よかったと話していました。

自分の時間も取れるようになって
勉強の時間やプライベートも充実していると。

 

今はもう救急からは離れていますが、
結婚・妊娠・出産を経て、まだまだ看護師続けてます

あの時、社畜の精神から抜けられなかったらどうなっていたか・・・

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